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神威の書 : 第一章 : « 第五章 »

第五章

c-1の。
商店街のまん中辺りに、プラットホームがある。
………。
プラットホームは。
エデンに住む人々にとっての。
私的な交流の場所だ…。
……。
1階は。
飲食店街で。
レストランや。
洒落たティー・バーなどが。
ずらりと立ち並ぶ…。
……。
2階には。
雑貨や衣料品、アクセサリー店などがある。
3階は劇場や映画館。
また。
ゲ-ムランドなどの娯楽施設があって。
シャッバート・イブ には結構にぎわう…。
………。
それから。
地下3階には。
区画と。
区画の間を結ぶ、ライナーが乗り入れていて。
スクールや。
ヒーリングセンター。
あるいは。
会所や。
作業所などへの移動手段として。
人々に利用されている……。
……。
「……」
エントランスを。
少し歩いていくと。
そこには。
落ちる水のオブジェがある……。
………。
…………。
ざーざー。
…ざーざーざー…。
…………。
…ざーざー……。
ざー……。
聴覚に…。
響いてくる…。
ざーざーざー…。
…上から下へ……。
……上から下へ……。
…ざー……。
落ちる…。
…流れる……。
水の…オブジェ……。
……。
「………」
この…。
落ちる(流れる)水のオブジェのことを。
タキと呼ぶのだと……。
…いつだったか…。
ハタ氏が…言ってた…。
……。
その時。
ハタ氏は。
僕の姓と同じ。
タキという発音に。
記憶はないか…と…言って…。
……。
………。
「…………」
…っと…。
思考にハマってる場合じゃなかった…。
僕は。
その畠氏から。
会所に呼び出しを食らってるんだ……。
…………。
遅くなりかけた歩速を戻して。
僕は視点を上げた……。
「……」
視界の奥に。
エレベータ・ホールが映った。
………。
…………。
エレベータ・ホールには。
エレベータが3機並んでいる。
…。
僕は。
左端のエレベータに近づいて。
…ぷち…。
ドア脇にあるコール・ボタンを押した…。
…………。
……。
…ぽーん…。
まもなくして。
着信予定ランプが点灯した。
……。
僕がドアの脇に立つと…。
「きゃらきゃら…」
「ぺちゃ。くちゃ…」
背後から話し声がした。
「………」
エレベータのドアに。
寄り添う男女の姿が映ってる……。
………。
……恋人…同士…?
……………。
「あ~ちゃん。昨日、ヒーリング・センター行った?」
「行ったよ。もう。すっきりだ」
「良かったね。でも。どこがいけなかったのかな?」
「う~ん。なんかな。良くわかんないけど…。ちょっと、昔のこと思い出しかけてたみたいで…」
「ええっ。そんなの大変。だって。私たち。昔のこと忘れたから。善い人になれたんでしょ?だから。エデンにいられるのよね?そう。習っ
たわ」
「そうだよ。だから。平和でいられるんだよ。みんみん。感謝しような」
「うん。みんみんはね。毎日。感謝している。お祈りして。edenの神様に」
「そうかぁ。みんみんは。えらいな。きっと。edenの神様も。喜んでるよ」
「あら。あ~ちゃん。それを言うなら。喜んでおられるだよ。ちゃんと。言葉、使わなくっちゃ」
「ああ。そうだね。みんみんは。頭もいいんだなぁ~」
…きゃらきゃら…。
ぺちゃくちゃ…。
「……」
…あぁ…。
思わず聞いちゃった……。
ゴォウゥゥン……。
ちぃーん。
…来た。
がーっ。
目の前で。
エレベータのドアが開く…。
…………。
かつかつかつ…。
僕がエレベータに乗り込むと。
後ろの二人も乗り込んできた…。
ヴィン……。
ゴォゥゥン……。
ドアが閉まる……。
……ひゅ………。
…………ぃぃぃぃぃ……。
……ぃぃぃぃぃ……。
……………。
密閉体の落下音に。
鼓膜が振動する……。
…………。
……ぃぃぃ…………。
………ぃぃぃぃぃ……。
…………ぃぃぃぃぃ……。
…ぼそ…。
ぼそぼそ…。
…?
……ひゅ………。
………ぃぃぃぃぃ……。
…ぼそぼそ…。
…………ぃぃぃぃぃ……。
…ぼそぼそ…。
……ぼそ…。
…………。
落下音に紛れて聞こえてくる…。
…ぼそぼそ…ぼそ…。
……話し声…か………。
…ぼそ…。
「…~ちゃ…。あの人。女の人…思う?」
…ぼそぼそ…ぼそ……。
「…うん…?…乗ってる?ブルー・ク…の…?」
「…ん…見た?す…ごく…奇麗な人…」
…ぼそ…ぼそ…。
……ひゅ…ぃぃぃぃぃ……。
「見…けど…。男じゃな……?だ…て…ブルー・クラスの…は希だって聞いたぞ?」
「あ…そうかぁ…。でも…」
……ぼそぼそ。
…ぼそ……。
…………。
…聞こえてるんだよ(内容が)…。
それで内緒話のつもりか。
………。
……ぼそぼそ。
…ひゅ………。
………ぃぃぃぃぃ……。
「…の人…だよ……。絶対……」
「女…かなぁ…だったら…すごい美人……」
………。
…………。
~~~~。
男だよっ。男!
なんで。
どこが。
女に見えるー?!
………。
ちぃーん。
…あ…。
が…くん…。
着いた…。
ごーっ。
ドアが開く……。
「………」
かつっ。
僕は少しわざとらしく。
足音を立ててエレベータを出た…。
…と…。
--- Atention Please! ---
--- HSL inner track IN ---
……。
ライナーのアテンションが流れた…。
……。
ライナーは無人運転だ。
ゲート・プレート に反応がなければ。
素通りしてしまう。
……。
僕は急ぎ足で。
一番近くのプレートに足を乗せた。
…………。
……………。
ご、ご、ご……。
……liner IN……。
…ご、ごごご…。
ごごごごごぉぉぉぉ……。
………ぉぉぉぉぉ…………。
…ぷしゅ……。
ぷしゅしゅ………。
……しゅぅぅぅぅぅぅ……。
………………。
ライナーが止まった…。
…………。
--- このライナーは ---
--- HSL inner track です ---
……。
アナウンスが流れて。
ゲートが開く…。
………。
かつかつ……。
僕が乗り込むと。
二人連れも乗ってきた。
…………。
……。
--- 発車します ---
……。
…………。
ぷしゅーっ。
……ドアが閉まった……。
がっくん…。
ゴー。
走り出す……。
………。
…………。
…ウィンドウの外に。
流れる……。
…色……。
……アクアの…。
………。
…。
……あ…。
また…だ…。
…また…。
欠片…が……。
……色の……。
…色……。
………。
…これは…。
………。
…これ…は……。
な…に……?
これ…は……。
……。
…………。
………………。
……タ……。
………キ…?
…………滝…?
……何……?
ハタ……さ………。
……。
……過ぎる。
…………過ぎる。
過ぎる…。
あ…。
ハタさん…が…。
…何か…言って…る…?
……あれ…は…僕…?
だ…れ…?
…………。
あ…。
…あ…。
…………。
あ…。
だ…だめだ…!
だめ…!
……。
あ…アカツキ…!
…だめだ!
礼奈!
わぁっ……。
………ぁぁぁぁぁぁぁ……。
…。
………。
…………。
僕の脳裏に。
聞きなれない僕の声が響いた…。