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神威の書 : 第二章 : 第一節 »

第一節

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------ eden / b-3 -----
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d-6のプラットホームを出てから。
メイン通りのイノガシラを西へ5分…。
Shop La port を右手に折れた路地に面して。
僕が所属する会所がある……。
…………。
会所の形状は立方体。
外壁の表面材質は不透明な乳白色だ……。
通りに面した壁面にゲートがあって。
そこを抜けると。
グレースケールで着色されたロビーが広がる…。
……。
「………」
…どこのフォーラムだろ……。
誰が主催者だ…?
今日は……。
…所長か…?
ハタ氏…か……?
………。
会所には。
いくつかのフォーラムがあって。
使用中のフォーラは。
ロビーに掲示されているはずだが……。
………。
主催者:d-6会所長。
内容:打ち合わせ。
フォーラム:No115。
備考:メンバーのみ。
…………。
「………」
掲示板に。
d-6会所長の文字を見つけた…。
………。
内容。
…打ち合わせ…。
………。
……。
…打ち合わせって。
何だよ…。
そもそも。
僕は今日。
何の用事で呼び出されたんだ……?
………。
「………」
…なんだか…嫌な感じ……。
腹の底の方から。
…せり上がってくる…。
これ…は…。
嫌悪…感……?
……。
………。
「………」
僕は軽く息を吐いた…。
……。
ここで考えていても。
何かがわかるわけじゃない……。
…かっ…。
僕は。
掲示板に示されていた。
フォーラムに。
足を向けた……。
…………。
かつかつ…。
フロアを歩く……。
かつかつかつ…。
……。
シャッバート・イブのせいか。
あまり人気がしない。
かつかつ…。
自分の足音ばかりが。
耳につく……。
………。
…………。
かつ………。
突き当りを左。
目の前に見えた。
フォーラムNo115。
プレートのかかったドア……。
………。
僕は。
ドアの前で。
もう一度。
軽く息を吐き。
ドアをノックした。
それから。
…がちゃ……。
ドアを開けた……。
……。
「………」
一斉に。
中からの注目を浴びて。
僕は。
思わず足を止めた……。
すると…。
「あ、タ、タキさんっ」
部屋の中から。
真っ先に。
カンザキ氏が声をかけてきた。
それから。
コンタニ氏が。
僕のそばまでやってきて……。
「タキさんっ。タキさんっ。早うっ」
突っ立ったままの。
僕の腕を引いた…。
「早う。早う。こっち来て……」
「ま…待って……」
ぐいぐい。
「……」
僕が戸惑っても。
そんなことはお構いなしに。
コンタニ氏が。
腕を引っ張る……。
ぐいぐいぐい。
がた。がたがた……。
僕は。
椅子やら。
机やらに。
引っかかりながら。
……がん。
ごみ箱に引っかって。
がららららん……。
それを蹴飛ばした……。
………。
僕は立ち止まった……。
そして。
……。
コンタニ氏の手をふり解いた…。
「…タキさんっ…」
ぱん。
「……」
「………」
そして。
なおも。
僕の腕を捕まえようとする。
コンタニ氏の手を払った……。
「………」
「……」
コンタニ氏が黙ったので。
僕は。
身を屈めて。
ごみ箱を立て直そうとした…。
…と…その時……。
「タ、タタ、タキ君。よよよ、余裕だね。も、もう、話はついちゃっている…という事、かな?」
……。
不意な声がした…。
顔を上げると。
いつのまに近くに来たのか。
所長の顔が。
僕の目の前にあった……。
…クリスプが。
顔の前で。
くねくねと動いている……。
………。
「そそそ、そんな事は、な、ないよね?ぼ、ぼ、僕は、君を、とても、し、ししし信頼しているんだよ。ね?」
「……?」
「さ、さささ。ここ、こっちに、来て。み、みみ、皆の前で、しゃ、釈明して」
…………。
…?…釈明……?
何の……。
………。
「き、ききき、君は有能だ。と、とてもかかか、神に愛されている。そ、その青い髪も、紫の瞳だって、か、か、かかか、神に愛されている証拠なんだよ。ね?」
………。
口は笑顔に曲がっていても。
笑っていない所長の表情(かお)……。
………。
「………」
僕は。
ゆっくりと。
屈んだ状態の体を伸ばした…。
……。
僕の顔を追って。
所長の目線も上がる……。
「………」
「……」
一瞬。
見合ったような気配になった……。
…と…。
「タキさぁん。謝っちゃって下さいよぅ。じゃなきゃ、オレ達は、関わりないって……」
……。
部屋の奥から。
カンザキ氏が。
僕に向かって声を上げた。
そして……。
「せ、せや。タキさんの口から、所長と、ハタさんに言ってもらわんと……」
そう言いながら。
コンタニ氏が。
一度は離した僕の腕を。
また掴み直した。
……。
…………。
…な…なん…だ……。
一体…何……?
………。
僕は。
僕の腕に掴まっている。
コンタニ氏に向き直って言った…。
「…何の話?さっきから…」
すると…。
「何の話やあらへん。とぼけんなや」
コンタニ氏はそう言って。
掴んでいる手により一層の力をこめて。
僕の腕を引っ張った…。
「…ぃた…っ…」
「タキさんのせいでオレらまで…」
「………」
「冗談やないで。さっさかしゃべって…」
コンタニ氏が。
いよいよ怒声になりかけた時…。
「-- あのさ」
「…っ…」
……それまで黙って座っていた。
ハタ氏が口を開いた……。
「見てもらえばいいんじゃないの?そんなところでごちゃごちゃ言っているより。それが早いでしょ」
「……」
「………」
コンタニ氏が沈黙した……。
……。
………。
ハタ氏の頭髪は。
インディーゴ・ブルー。
しかも。
音感Bクラスで。
いわゆるIBクラスと呼ばれ。
業界ではトップクラス扱いされている……。
………。
「あ、そ、そ、そう……。そう、だね」
所長が慌てて。
ハタ氏に近寄って行った……。
そして。
一枚の DVD-ROM を摘み上げて。
僕の方に向け。
ひらひらと動かした……。
……。
「タタ、タキ君。これ……」
「……?」
…な…なんなんだよ……。
だから……。
………。
「まあ、みんな。見ようよ。落ち着いて。話はそれから」
ハタ氏がそう言うと。
コンタニ氏も。
カンザキ氏も。
元いた場所に戻った……。
「ほ、ほら。タキ君も。そ、そんなところに、突っ立っていないで」
所長が僕に投げかけた…。
……。
僕は…。
「………」
…がたん…。
一番近くにあった椅子に座った…。
………。
「じ、じゃ、か、かける、よ?」
所長が。
ハタ氏の顔色を覗うように言った。
ハタ氏が黙って肯くと。
所長は。
PC のCD-ROMユニットを開け。
持っていた CD を挿入した……。
………。
……。
………。
ふぃふぃーいん。
少しの沈黙の後。
CD-ROMの回転音が鳴った…。
………。
ひゅん……。
ひゅうぃーーーんんん……。
ひゅぅーーーーん。
…そして…。
起動……。
……。
………。
…………。
スクリーンに映し出される。
…フェード・イン……。
背景色から…。
…メインルーチン……。
……。
………。
「………」
…がたっ……。
僕は身を乗り出した…。
………。
「…こ……。これ……?!」
………。
ぽぽぽん……。
………。
続いて。
部屋に。
音と映像が流れた……。