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神威の書 : 第二章 : « 第五節 »

第五節

かつん……。
「……」
立ち止まった僕の目の前にある。
マスカットのゲート・ボール……。
これを抜ければ。
…g-7……。
……通称: カナン……。
………。
……………。
カナンは。
未だ整備途中で。
しかも。
現在。
一番整備が遅れている区画だ……。
……。
だが。
この区画こそ。
将来。
神から最も祝福される地…とされている……。
………。
そして。
その将来。
そこに住むことを許される人たちは。
今のエデンで。
規定の生活をこなし。
神の最後の判決まで。
その態度を。
一度も怠らなかった人たち……。
……。
その人たちには。
カナンでの。
至上の幸福 という希望が。
堅く約束されている……。
………………。
その神の最後の判決が。いつなのか。
それは。
誰にも知らされていない。だから。
誰が カナンに行けるのかも。わからない。
だが…もし…。
カナンへの入場が。
許可されなかったとしても。
次的な基準として。
現在のエデンは存続するから。
誰もが。今より不幸になることはない……。
……。
むしろ。カナンが完成し。
カナンに住む人間が選別され。
その人間達が。
カナンに入ったその時こそが。
神の世界の全なる完成…。
…とされているから。
現在。
エデンに住む人たちは。
たとえ。
自分が カナンに行けなくとも。
今以上に幸福になると。
信じて生きている……。
……。
だから皆…。
互いに励ましあって。
その時を待っているのだ……。
………。
…………。
現在 カナンは。
レッド系の単色スケールのみが存在し。
整備に携わる。
ロア・クラスの住居区も兼ねている。
そのため。
ロア・クラス以外の人間には。
色感覚刺激が強すぎて。
特に。
アッパー・クラスの人間は。
立ち入らないのが一般的だった……。
………。
……。
…ちゃら……。
僕は。
ポケットから。
クラス・チップを取り出し。
ゲート・ボールにあるソーサーに入れた……。
……かしょ……。
かしょしょしょん。
…ぴー…。
……………。
………。
--- あなたはロア・クラスではありません ---
----- 入場を希望しますか? -----
------- YES or NO? -------
………。
………………。
確認のメッセージが流れる……。
……。
< Y >
< ENTER >
タッチ・パネルから。
回答を入力する……。
………。
ウィィィィィン……。
………。
……。
--- 面会希望者があれば ---
------ searchします ------
……。
………。
< class = "IB" >
< ENTER >
< neme = "Akira Hata" >
< ENTER >
………………。
ウィィィィィン。
………………。
………。
♪♪シャラララン…フウフウ…ラルラ…♪♪
♪♪♪シャラララララ……フウフウ…♪♪♪
♪♪♪シャラララン…ラルラ…♪♪♪
♪♪♪シャラララ・ラン……♪♪♪
………。
----- class = "IB" -----
--- name = "Akira Hata" ---
------ を認識しました ------
--- 表示される矢印に沿って ---
------ お進みください ------
--- Thank you for the heart ---
…………。
認識音を確認して。
目の前のゲート・ボールに手を伸ばす……。
………。
す…すすすす。すす……。
………。
「…つっ……」
視界が。一瞬…。
…マスカット1色になった時……。
………。
…全身に。
痛みに近い…疼き…が…。
…走…る……。
………。
……。
………。
すすすすす。すぅー。
………………。
……そして…。
目の前に広がる……。
…赤の世界……。
…………。
カナンに来ると。
いつも感じる……。
…この…疼き……。
赤……。
…どくり…と鳴る…心臓……。
………………。
「…は……」
……浅い…息…。
………。
…………。
…あ…れ……?
いつもより……。
…きつ…い……?
………。
いつもなら……。
……。
…あ…。
今日…は……。
………。
……鳴りつづける…。
心臓……。
………………。
………。
…足元には。
ハタ氏の居場所を案内する。
矢印が見えている…。
だが。
それに着いて。
すぐには歩けだせそうにもない……。
………。
「……」
それどころ…か…。
…立って…いるの…さ…え……。
………。
……。
僕は仕方なく。
近くに積み上げてあった。
レンガ色のブロックに…。
身を…預けた……。
「………」
……なん…だ……。
…今日は…長い……。
「…ふ……」
目を閉じた……。
………………。
どくん。
…どくん。
……どくん。
鳴りつづける……。
…どくん。
……どくん。
………どくん。
「は……」
息が…上がる……。
………………。
…こ…れじゃ……。
ハタ氏を…。
……探すどころ…じゃ……。
………。
…じゃり……。
「………」
……。
その時。
僕の近くを。
人が通る気配がした……。
………。
…目を開けると……。
………。
「……」
突然。視界に飛び込んできた。
インディーゴ・ブルー……。
……強烈な…。
感覚の……。
…ギャッ…プ……。
……………。
「…ぅ…あ……」
………。
……。
………。
た…た…おれ…る……?
………………。
…………。
……。
がし。
「………」
誰かが。
倒れかかった僕の腕を掴んだ……。
そして…。
「ばか。いきなり目を開けるやつがいるか」
…頭の上から声がした……。
………。
僕は。ゆっくりと目を開けた……。
………。
……。
倒れかかった僕の腕をつかんだのは。
ハタ氏だった……。