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神威の書 : 第三章 : « 第二節 »

第二節

ハタ氏は。
手元のグラスで。
カラカラと音を創って。
話の時を計っている……。
それは。
いつものハタ氏の癖で。
話し出すタイミングを。
自分のスケールで計るのだ…。
…からん……。
僕は。
クリムゾンを飲み干した……。
………。
「--。オーダーしろよ」
ちゃり……。
ハタ氏が。
クラスチップをカウンターに置いた……。
「……」
「まだいけるだろ?ダブルぐらい」
「…。ダブルで…話…終わるの…かよ?」
「おまえ次第だね」
「何が?」
「どこまで聞く気があるか…さ」
「……。どこまでも…何も…。まだなんの話も出てない…じゃないか」
「待っているのさ」
「何を?」
「途切れるのを…」
「え…」
「……」
「…何…?」
「………」
「……」
「………」
「…な…んだ…よ…?」
「………」
「……」
「---。傍受(ワッチ)さ」
「えっ……」
「--。わざわざカナンまで来ていると言うのに。まったく不愉快極まりないよ。他人に脳波を覗かれるなんて事は」
「………」
「……」
「…ワ…ワッチって……」
「……」
「覗かれるって…?」
「……」
「…脳波っ…て…なんだよ?」
「--。なんだ。おまえ。まったく見当ついていないのか?」
「……?」
「作品だよ。作品漏洩」
「あっ…」
「……」
「…で…でもっ…。なんで…?え…って…。じゃあ…。僕の脳波をワッチして。見たって言うのか?なんで?誰が?!」
「感情を荒げるなよ。またワッチされる」
「…そ…っ…」
「ダブルで良いな?」
………。
ハタ氏はそう言うと。
シェーカーにオーダーを通した…。
………。
なんで?
どうして?
何が…。
…誰が…。
なんで僕の作品を……?
…………。
僕の頭の中に。
?が飛び交った…。
………。
「何のためかは知らん。だが。ワッチしたやつらは。見当がつく」
「誰?!」
「--。だから。それを気を付けろよ?受けたものをそのまま出すな。少しはコントロールしろ」
「~~~~~」
「無愛想も然り。上手く見せることを少しは学べよ?まるで筒抜けだ」
「…そ…そ…んなこと…言ったって…。ぼ…僕は…この…まま…なんだ…。何を…どうすれば…いい……」
「まあ…。とりあえず。にっこり笑ってみてはどうかな?トモクン」
「…ふ…ざける…なよ……。人が…真面目に……」
「真面目だぞ?俺も……」
そう言ってハタ氏は。
顎でしゃくって。
僕の斜め後ろを示した。
「……?」
「脳波をワッチされなくても。会話を直接聞かれることもあるさ。まあ。当然だな」
「………」
「がら空きだ。おまえの背中は。危ない危ない」
「…~~…」
そう言って。
ハタ氏は再び。
グラスを傾けた……。