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たったったっ……。
ぷしゅーっ……。
「は……」
……。
僕はどうにか。
最終ライナーに間に合った…。
………。
「……」
ハタ氏は。
カナンにいる……。
……。
メールの送信時間が。
PM:11:17……。
僕とカナンで別れたのが……。
…PM:10:57……。
あの時ハタ氏は。
シナイに忘れ物をした…と言って。
ゲートから引き返して行った……。
………。
それからハタ氏が。
まっすぐ帰宅したとしても……。
…自宅があるa-2まで。
30分は掛かるはず……。
………。
ハタ氏は。
シナイであのメールを打った……?
では戻ったのは……。
…メールを打つため……?
………。
だがそうだとしても。
違うとしても。
メールを打っている時間を考えたら。
別れた後。
すぐに打ち始めたとしか思えない。
それで。
動けなくなった…なら……。
……。
--- 次は d-6 に止まります。 ---
「………」
カナン……。
……。
ぷしゅー。
だっ。
僕は。
ライナーのドアが。
開くと同時に飛び出した。
……。
たったった……。
[INOGASHIRA]を。
真っ直ぐ西へ向かう。
「はっ…はっ……」
……。
何が起こった……?
ハタさん……。
頭の中で。
…繰り返す……。
たったった……。
……たったっ……。
…た……。
………。
カナンのゲート……。
……。
ちゃら…。
ソーサーにチップを入れる……。
………。
--- あなたはロア・クラスではありません ---
----- 入場を希望しますか? -----
----- YES or NO ? -----
……。
確認のメッセージ……。
< Y >
< ENTER >
………。
ウィィィィィン……。
…………。
---面会希望者があれば---
------ search します------
…………。
……面会…希望者……。
…………。
タッチパネルに触れる指が。
僅かに震えた……。
…………。
< class = "IB" >
< ENTER >
< name = "Hata Akira " >
< ENTER >
…………。
ウィウィィィィィン……。
……………。
………。
♪♪♪シャラララン…フウフウ…ラルラ…♪♪♪
♪♪♪シャラララララ……フウフウ…♪♪♪
♪♪♪シャラララン…ラルラ…♪♪♪
♪♪♪シャラララ・ラン……♪♪♪
----- class = "IB" -----
--- name = "Hata Akira" ---
------ を認識しました ------
--- 表示される矢印に沿って ---
------ お進みください ------
--- Thank you for the heart ---
………。
…………。
認識音がした……。
僕はすこしほっとした…。
………。
「……」
目の前の。
ゲート・ボールに。
手を伸ばす……。
………。
す…すすすす。すす……。
………。
視界が。
一瞬マスカット1色になり……。
…次に広がる。
赤の世界……。
……全身に…。
…疼きが…走る……。
………。
「ふ……」
僕は短い息を吐いて。
瞬きをした……。
……。
「……」
足元に。
矢印が表示されている……。
やっぱり……。
ハタ氏はカナンにいるのだ……。
………。
たっ……。
僕は。
矢印に沿って進み始めた。
矢印はシナイに向かっている……。
…たったったっ……。
……たったったっ……。
…た…。
ばん…。
………。
シナイのドアを開けた……。
ハタ氏を探す……。
……。
………。
…いない…のか……。
………。
僕は。
シェーカーに尋ねようと。
カウンターに近づいた…。
「あ……」
カウンターにモバイルが置いてある……。
lid に刻印された……。
AH……。
ハタ氏のイニシャル……。
………。
「あ…の……」
僕はシェーカーに声を掛けた。
………。
「はい。なんでしょう」
シェーカーは。
グラスを拭きながら。
僕に振り向いた…。
………。
「あ…の…。このモバイルは……」
「ああ。それですか。それは。お客さんが置いていったのですよ?」
「置いていった…?えっ…と……。その人は…インディーゴ・クラス……?」
「はい。そうです……。ああ。あなたは。お連れの方ですね?夕方見えられた?」
「そうです……。あの…それ…で…。その人は……?」
「一人で見えたのですよ。しばらくカウンターでマゼンダを飲みなさって……」
「……」
「30分ほどで…出ていかれました」
「…出て…行った……」
「はい」
「モバイルを置いて……?」
「そうです」
「……な…なにか……。言って…。あの…。黙って…置いて行ったんですか……?」
「……。自分はだいぶ酔ってしまったから。落としてはいけないので。ここに…置かせてくれと……」
「…ほ…他には……?」
「………」
「……」
「………」
「お…おしえて…くだ…さい…。お…ねがい…し…ます」
僕は頭を下げた……。
「い…いやいや。止めてください。どうか……。頭を上げなさって……。ブルー・クラスの方に頭を下げられたのでは……」
「………」
「いえ…それが……。妙な言葉でしたので……。私の聞き違いかとも思いまして……」
「な…なんて……?」
「はいそれが…。その方が…」
「……」
「『夜は明けるか?』…と私に聞きなすったので……」
「………」
「私は。『夜が明けないと明日になりません』と…お答えしたのです」
「……」
「そうしましたら……。軽快に笑いなすって……。『ありがとう』…と……」
「………」
「……」
「………」
「やはり…私の聞き違いかもしれません」
「…そ…それで…?」
「はい。それで……。それだけ言われて。席を立って。出て行かれたのです」
「………」
………。
……。
………。
「あ…ありが…とう…ご…ざい…ます……」
……。
僕は。
もう一度頭を下げた……。
「いえいえ…。お役に立てませんでしたようで…」
………。
僕は少しだけ首を振った……。
………。
……。
…ばたん……。
僕はシナイを出た…。
………。
…………。
「………」
………………。
月の青に照らされたカナンの赤が。
別の色に見えた……。